Posts Tagged “プロデューサー”

「ゲーム産業におけるプロデューサーのキャリア発達」日本キャリアデザイン学会『キャリアデザイン研究』Vol.5、pp.5-21(2009年9月)を執筆しました。

●概要
本論考では、ゲーム産業におけるプロデューサーのキャリア発達過程を解明した。プロデューサーのキャリア発達を、時間的次元、空間的次元、精神的次元という三次元で捉えることを主張した。すなわち、キャリアとは、「個人の生涯を通じて、仕事に関わる諸経験や諸活動に関連した態度や行動の、個人的に知覚された連鎖」というHall(1976)の定義に準拠した。
まず、客観的なキャリア発達過程(キャリア・パターン)を抽出した。次に、主観的なキャリア発達過程(キャリア意識)を明らかにするために、個人によって語られる回顧的なストーリーを解釈し、その背景にあるキャリアへの意味づけを分析した。
その結果、以下の5点が明らかにされた。
第一に、初等中等教育の時期にゲーム産業への関心が醸成された(内発的動機づけが高められた)者は、ゲーム開発職(専門職)として初期キャリアを歩んだ後、ディレクターを経て、プロデューサーに就いている。このキャリアパスは、企業組織内部におけるプロデューサーの典型的なキャリア発達プロセスであることが示唆される。
第二に、ゲーム産業におけるプロデューサーのキャリア選択は、自己の意思決定よりもむしろ企業組織側の要請(人事異動)によって行われている。しかしながら、プロデューサーの役割は、企業内部において必ずしも確立していないため、キャリアデザインの困難性が窺える。
第三に、自覚されたキャリアの節目は、人事異動などの転機や主体的なキャリア選択時であり、自己の成長あるいはキャリア展望として回顧的に意味づけられている。
第四に、ゲーム産業におけるプロデューサーは、熟成した自己概念が形成されており、起業家的創造性のキャリア・アンカーを有する者が最も多い。新たなゲーム創造を通じて事業として経済的に成功させたいという欲求は、多くのプロデューサーが持つ根源的な意志である。
第五に、ゲーム産業におけるプロデューサーの成長を促す経験と学習の機会は、主に仕事の中に埋め込まれているが、学校教育の職業的意義を主観的に評価している者も多い。
以上の知見から、ゲーム産業におけるプロデューサーのキャリア発達過程について、以下の結論を得た。
ゲーム産業への高い関心が醸成されることにより当該産業に参入し、成長を促す経験やキャリアの節目において、参加的学習や省察的学習が行われることによって、キャリア志向が成熟していく。成熟したキャリア志向とキャリアの節目は相互に影響を与えあっている。また、学校教育で獲得された知識は、ゲーム開発の現場で活かされており、成長を促す経験と相互作用を及ぼしている。したがって、ゲーム産業におけるプロデューサー育成においては、知識と経験の間で媒介される暗黙知を統合する学習機会が有効であることが示唆される。

Comments ゲーム産業におけるプロデューサーのキャリア発達 はコメントを受け付けていません。

「ゲーム産業におけるプロデューサーのキャリア発達」日本キャリアデザイン学会第5回研究大会、資料集pp.112-115、京都産業大学(2008年9月28日)にて発表しました。

Comments ゲーム産業におけるプロデューサーのキャリア発達 はコメントを受け付けていません。

「コンテンツプロデューサー養成を目的としたインターンシッププログラムの開発と実践」日本キャリアデザイン学会第3回研究大会、報告集pp.21-24、立命館大学衣笠キャンパス存心館(2006年10月28日)にて発表しました。

Comments コンテンツプロデューサー養成を目的としたインターンシッププログラムの開発と実践 はコメントを受け付けていません。

『コンテンツ分野における人材育成に関する調査研究報告書』(特定非営利活動法人映像産業振興機構委託「コンテンツ人材育成総合プログラム」に関する調査・研究)(2006年3月)を執筆しました。

●概要
1.本調査研究の目的
本調査・研究では、①日本型コンテンツカリキュラムの開発、②産学連携人材育成システムの構築、③コンテンツ分野におけるキャリア形成支援を目的とした。
とくに本調査・研究では、組織(コンテンツ人材育成機関、なかんずくコンテンツ高等教育機関とコンテンツ産業)と個人(コンテンツ高等教育機関在学生とコンテンツプロデューサー)に焦点を当て、人材育成の要となる「教育」と「キャリア形成」の2つの大枠で捉えて、調査と分析を行っている。

2.本調査研究の背景と方法
第一章 コンテンツ高等教育機関のカリキュラム調査
経済産業省では、コンテンツ産業発展の要となるプロデューサーの重要性に鑑み、プロデューサー人材育成の方法を検討するため、平成14年度には「コンテンツプロデューサー養成基盤の在り方に関する調査研究」を実施し、欧米諸国におけるプロデューサー養成の実態に関する調査を行った。また、平成15年度には「コンテンツ・プロデュース機能の基盤強化に関する調査研究」を実施し、日本のプロデューサーに必要とされる知識・ノウハウ(関連法制、資金調達手法、海外との取引実務など)を体系化したカリキュラム・テキストのプロトタイプを策定した。そして、平成16年度には、前年度に作成したカリキュラム・テキストを使用して実証事業を実施し、その評価を行っている。
このような調査研究の蓄積を踏まえ、本調査・研究では、これまで手薄であった韓国、台湾などの東アジア諸国におけるコンテンツ人材養成の実態に関する調査に取り組んだ。なぜなら、近年、東アジア諸国では、政府主導のもとでコンテンツ振興政策を推進し、急激に国際競争力を強化しつつあり、わが国のコンテンツ産業にとって脅威な存在となりつつあるからである。例えば、オンラインゲームについてみれば、韓国で開発されたタイトルは既に世界市場を席巻している状況にある。
これら東アジア諸国のコンテンツ振興政策の重点のひとつに高度人材育成政策があり、それが今日の各国のコンテンツ産業の発展の要因のひとつとなっている。とくに、いわばコンテンツ分野では後発ともいえる東アジア諸国のコンテンツ教育システムは、先発したわが国や欧米諸国の実情を批判的に継承して、最善の教育システムを実現しつつある。
そこで、本調査・研究では、すでに先行して高等教育機関におけるコンテンツ教育が定着している欧米諸国ではなく、韓国、台湾など東アジア諸国の、主として高等教育機関における人材養成の実態を総体的に分析し、日本型コンテンツカリキュラムの開発において参照すべき資料として提示する。なお、中国においてもカリキュラム調査を行ったが、いまだ分析の途上のため本報告書では割愛している。

第二章 コンテンツ産業における人材育成の現状と課題
わが国では、コンテンツ産業の雇用統計をはじめとして、コンテンツ分野の人材採用・人材育成の全体像を把握しうる統計がほとんど存在せず、統計資料の整備が著しく遅れている。
例えば、デジタルコンテンツ産業の雇用統計調査については、『マルチメディア白書2000』や『デジタルコンテンツ白書2001』で推定に基づく分析が行われているが、第一に、デジタルコンテンツ産業が日本標準産業分類と整合しない点、第二に、国のマクロな産業統計では調査年度や就業者数が異なる点、第三に、国の個別産業統計ではカバーされる産業が限定されている点、第四に、業界団体による統計では調査対象が会員に限定されている点が問題として指摘されており、統計的な把握の困難性が傍証されている。
国の知的財産戦略として位置づけられているコンテンツ分野の人材育成を、産官学がそれぞれの役割の下に、着実に、そして飛躍的に推進させていくためにも、このような統計資料の整備は必須である。
以上のような問題意識に基づき、プロジェクトは、コンテンツ産業における人材育成の質的向上の一助とすることを目的として、映画、アニメ、ゲーム、放送業界の人事担当者を対象に「コンテンツ産業における人材育成に関する実態調査」を実施し、コンテンツ産業の人材採用や人材育成に関する意識・実態を調査して、その結果を分析した。調査に際しては、採用者数や採用方法、育成策などの人的資源管理の実態などを中心にたずねた。

第三章 コンテンツ分野におけるインターンシップの現状と課題
コンテンツ分野の人材育成法として、インターンシップをはじめとする産学連携による教育が要となることは、すでにこの分野における先進国である北米諸国を見ても明らかである。
日本映像職能連合では、平成16年度より、文化庁の支援のもと、映画製作の各過程を担う専門性の高い人材の育成を目指して「映画スタッフ育成事業」を実施しており、映画製作者や映画関係の人材育成機関等との連携体制を構築して、学生に製作現場での実践的な実習機会を提供している。また、特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)では、平成17年度、経済産業省の支援のもと、プロデューサー的視野を養うことを目指して「三方得インターンシップ」を実施し、学生に映像製作現場での実践的な実習機会を提供した。その他、各企業や教育機関においても、独自にインターンシップの取り組みが行われている。これらは、わが国において未だ定着していないコンテンツ分野のインターンシップの先駆的取り組みとして高く評価される。しかしながら、これら先駆的取り組みの実態やインターンシップ実施に関する意識調査が行われておらず、教訓化もされていない。
そこで、コンテンツ分野のインターンシップの量的拡大・質的向上を実現するための前提として、プロジェクトは、映画、アニメ、ゲーム、放送業界の人事担当者に対し、インターンシップに関する意識・実態を調査した。本調査は、第二章で行った「コンテンツ産業における人材育成に関する実態調査」の一環として実施した。調査に際しては、インターンシップの効用だけでなく、実施する場合の障害などについてもたずねた。

第四章 コンテンツ高等教育機関在学生のキャリア形成に関する意識調査
内閣府に設置された「総合規制改革会議」による教育・研究分野における一連の構造改革(大学設置に関する抑制方針の撤廃、専門職大学院制度の創設、学部等の改組に関する届出制の導入等)、高等教育を行う機関によるコンテンツ制作等に関する教育の振興(「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」(第二章第九条))などを背景として、現在、コンテンツ関連の高等教育機関が相次いで設立されている。しかしながら、それら高等教育機関を巣立った卒業生が、社会でその能力を十分に発揮しうる環境の整備が大きな課題となっている。
そこで、コンテンツプロデューサーを養成目標とする高等教育機関在学生に対してキャリア形成に関する意識を調査し、コンテンツ分野におけるキャリア開発の質的向上の一助とすることを目的として、「コンテンツ分野におけるキャリア形成に関する意識調査」を実施した。
本調査・研究では、コンテンツ分野の人材育成を被育成者の側から捉え直して、コンテンツ分野のキャリア形成として措定した。この考え方は、コンテンツ分野での就業を志す時点から就業中の研修すなわち能力開発・自己啓発を経て、そのキャリアを終えるまでの過程を一貫して捉えるものである。コンテンツ産業界を目指す者が豊かなキャリアを形成するという観点から人材育成を考える視点が重要である。この考え方は、第五章のインタビューにも反映している。

第五章 コンテンツプロデューサーのキャリア・パス
コンテンツ分野におけるキャリア形成という観点から行ったもうひとつの調査が、プロデューサーに対するインタビューである。
わが国では、商業的に成功を収めているプロデューサーが、コンテンツ産業界の第一線で活躍している。プロデューサーは、一体どのようなキャリア意識を持ち、そのキャリアを形成してきたのだろうか。職務経歴、仕事上の経験、会社組織との関係、転機、出会いなどさまざまな視角から、プロデューサーのキャリア形成についてインタビュー調査によって明らかにし、そのロールモデルの提示を試みた。
インタビュー結果の分析に際しては、とくに、キャリア・アンカー、キャリア・サバイバルという概念を重視した。キャリア・アンカーとは、キャリア選択に影響を与える最も大切な、他に譲ることができない自己概念を指し、キャリア・サバイバルとは職務と役割の戦略的プランニングを意味する。これらは、キャリア・デザインを検討する上で有効な概念装置であり、プロデューサーというまさにコンテンツ分野を代表する職業に適用して分析することで、キャリア形成の過程を明らかにした。

終章 調査研究の総括
以上、第一章から第五章の調査・分析結果を総合し、日本型コンテンツカリキュラムの開発に必要となる理念と、産学連携人材育成システムの構築やコンテンツ分野におけるキャリア形成支援に関する政策の基本的な考え方を提言した。
提言に際しては、コンテンツ分野における総合的な人材育成策を目指して、それらの実現のために必要な方策をあわせて述べている。また、人材育成とは被育成者のキャリア形成に対する支援にほかならないとの考えから、たんなる政策の羅列ではなく、根源的な哲学の定立の重要性とその具体化という道筋をふまえることを重視した。さらに、人材育成を担う教育界、産業界、行政のそれぞれの役割と連携を強調している。

Comments コンテンツ分野における人材育成に関する調査研究報告書 はコメントを受け付けていません。